残念ながら『彼』の
生まれ変わりとは
上手くは
いかなかったみたいだ。


この子をお腹に宿したときは

ジュンニイも私も
ジュンジュンまで


「絶対、オトコノコ!」


そう信じて疑わなかったから


ベビー服も小物も
みんな男児向けで
揃えてしまっていて

生まれたときは気が抜けて

思わず笑ってしまった。

男児むけの服を着せられて
男児用のオモチャに
囲まれてたら

何だかオトコノコみたいに
育ってしまって


「ジュナの土産は
いつもショボイな」

口のきき方まで乱暴で。


「ジュナ、ジュナって。
オトナを呼び捨てにしては
いけません」

「パパもボブのコト
ボブって呼び捨てにしてるぞ」


ああ言えば
こう言う。


「日本語でお話しするときは
呼び捨てにしてはいけないの」

口ばっかり達者に
育ってしまった。


「いいじゃん。
私、この子にジュナって
呼ばれるの好きだよ」

「だよな〜」


ジュンジュンとふたり
肩を組んでる。


本当にジュンジュンは
この子に甘い。


「アメリカ土産は
期待してなさい。

牛1頭くらい
買ってきてあげる」


おおきなコトを言っては
この子を喜ばせてる。


「今度はアメリカ?」

「うん、明日には発つよ」

「先週ヨーロッパから
帰ってきたばっかじゃない」


「『彼』の記念館の
オープンが近いからね」