「ウンコ〜♪!!」
娘が楽しそうに
描いた絵を説明する。
「…子どもが
描きそうな題材だよな…」
ジュンニイとふたり
肩を落とした。
そうだよね。
「子どもの描く絵なんて
こんなモンだよね」
「ウンコ、ウンコ
ウンコっこ〜♪」
「…もっとキレイなモノ
描いて欲しいな」
ジュンニイのリクエストに
「わんちゃんの
キレイなウンコ!」
真面目な顔で返してくる。
壁に描かせたのは
間違いだったかなって
ジュンニイは苦笑いした。
だけど
「ママが
踏んじゃったんだッ!
ねッ?」
娘が
私に同意を求めてくる。
「…あ」
それは
「汚いモノなんか触れずに
育ってきたんだろうな」
「わんちゃんのウンコとか
踏んじゃったコトくらい
あるよ」
それは確かに
幼いふたりが
交わした会話で。
「…私だって忘れてたのに」
『彼』との記憶が
鮮やかに蘇ってきて
私はその場に
へたりこんだ。
「何でこの子が知ってるの?」
望んだコトでは
あったけど
「こんなのって…」
私はジュンニイの腕に
しがみついた。
「ヒメ?」
「…『彼』なの。
『彼』の記憶なの…!!
私自身、とうに
忘れてしまっていた想い出を
この子が描いてるの…!」