「…この子が?」
ジュンニイが娘を
ソファーから抱き上げる。
娘の髪を何度も
かき上げながら
ジュンニイは
その顔をしげしげと
見つめていた。
「パパ、ウンコじょうず?」
「…そうだな。
キレイに描けたね」
ジュンニイが苦笑する。
「…ママにも褒めて貰え」
ジュンニイが娘を
私の前に押し出した。
「ママ?」
あふれる涙を
拭おうともせず
自分を見つめている私に
娘は不安そうな
目をしてみせる。
漆黒の
どこかオトナびた瞳が
『彼』を
思い起こさせた。
「…いいのかな」
手を差し出すコトを
躊躇してしまう。
「俺達の娘だろ」
ジュンニイが
私の手を取った。
そうだった。
『彼』の魂の分まで
しあわせに
しなきゃいけない
命だった。
「おいで」
私の胸に飛び込んでくる
わが子を
力いっぱい抱きしめる。
これは
神様が与えてくれたチャンス。
『彼』をしあわせに
できなかった
未熟な私に与えられた
最後のチャンスなのだ。
ジュンニイが
娘を抱きしめている
私の頬に
何度も何度も
キスを贈ってくる。
「パパ、ダメ〜ッ!!」
娘のヤキモチに
ふたりで苦笑した。
「じゃおまえにも♪」
「ヒゲ、嫌〜〜!!!」
ジュンニイの
すりすり攻撃に
娘が転げ回っている。