誰よりも
たくさんのヒメゴトを
抱えて生きてきて

今もなお
しあわせを探そうともしない

私の大切な親友。


「……」

自分の心臓の高鳴りが
はっきり聞こえる。


もういてもたっても
いられなかった。


やっぱり

「…もう一度
電話してみよう…!!」


そう決意して
電話を手にした瞬間


ケータイが鳴る。

《お母さんと再会したよ》

アメリカから
ジュンジュンのメール。


添えられていた写真には

ジュンジュンといっしょに
ハンバーガーにかぶりつく
『彼』のお母さんが
写っていて。


「…あははははは」

思わず安堵で
チカラが抜ける。


《『彼』の遺灰を撒いた海に
これからいっしょに
行ってきま〜す》

楽しそうな明るい笑顔に
物凄く安心した。


のに。


翌日になって
『彼』のお母さんから

ジュンジュンが
船から海に転落したと

事故の知らせを受けるなんて


神様の演出も
度がすぎている。


『彼』が眠っている海。


私はまだ夢から覚めては
いないのだろうか。


「ママ、ママ!?」

気を失いかけていた私を

娘がちいさなカラダで
必死に支えている。


「…大丈夫よ」

ジュンニイの
ケータイに連絡を入れて


「パパがすぐに
むかってくれたから」


大丈夫。

大丈夫って
娘と自分に言い聞かせた。


ジュンジュンの意識は
まだ戻らないけれど

スクリューにカラダを
巻き込まれなかったのが
奇跡だと

お母さんは言っていた。