「奇跡…」

自らの命を
断とうとしたなんて
考えたくもないけれど

何てタイミングなんだろう。


涙が次から次へと
溢れてきて


「ママ、ママ」

娘が私のアタマを
よしよし、しながら

自分の洋服で
涙を拭いてくれていた。



「ジュナは
ちゃんと戻ってくるってさッ」


娘の奇妙なコトバに
思考が止まる。


「ねッ?」

壁にむかって
娘は誰かに話しかけていた。


独り言?

昔からちょっと
変ったトコロがあったけど。


電話の内容を聞いて
理解したのだろうか。

だけど

いつも
オトナの真面目な話なんか
聞き流しちゃってる
この子が…。


場の空気を読まない
この子が?



娘は私と目が合って

「ふふん」と笑った。


…まるで
私のココロの中を
読んだように

娘はそうリアクションして


「大事なモノは
貰えないんだってッ!」


私のアタマの上に
折り鶴を乗せた。


「ねッ!?」

また壁にむかって
娘が話しかけている。


「…そこに誰かいるの?」


私は娘に
問いかけてしまっていた。