ジュンジュンは結局
大学には進学せずに

『彼』の死後

ミスターのアシスタントとして
世界中を飛び回るように
なっていた。

『彼』の死が
明るみになって

イッキに『彼』の作品の
値が跳ね上がり

『彼』の絵を
多く所蔵している
会社の株価が次々に
ストップ高になって

あのときは
世界経済が動いたと
大騒ぎになった。


海外では次々に
『彼』の記念館の建設が
発表され

『彼』を生前
かわいがっていた
セレブリティー達が
発起人になって

有志の手によって

記念館が

世界中あちこちに
造られた。


発起人の中には

私でも
名前を知っているような

世界的な著名人が
名を連ねていて。

それは別世界の話で。


どこか他人事のようで

違うヒトのコトのような
気さえしている。


『彼』が遺した
私の絵も

世界中に散らばって

日本でしか
公開されないハズだった
私の彫刻も

世界中の美術館から
レンタルの要望が
未だに
引きをきらないという。


『彼』は
もういないのに


『彼』が遺した作品達が

ひとり歩きをしていた。


「むこうでさ。

『彼』のお母さんと
落ち合う約束してるんだ」