「?」
娘はキョトンとした
顔で私を見つめている。
…バカなコトを
聞いてしまった。
「おにいちゃん」
え…?
「おにいちゃん。
でも、内緒なんだってッ」
…『彼』が
「いるの、そうなのね!?
見えるの!?
聞こえるのッ!?
『彼』がこの部屋に
今いるのねッ…!!!!?」
「ママ、痛いッ!!」
気がつくと私は
娘を激しく詰問していて
「…あ」
娘がおびえている。
「…ごめんなさい」
私は完全に
自分を見失ってしまっていた。
自分の行為を
猛烈に恥じいった。
何バカなコトを
口走ってしまったんだろう。
そんなコト
あるワケがないのに。
「ママ、腹減ったッ」
娘は何もなかったかのように
冷蔵庫を覗き込む。
「ちゃちいモンしか
残ってねぇな〜」
娘のセリフに力が抜けて
思わず
笑ってしまった。