翌日。

意識を取り戻した
ジュンジュンから
電話がきて

その声に安堵する。


「風が私の足元を
さらっていって

『彼』が迎えにきて
くれたのかと思った」


電話のむこうで
ジュンジュンが

少しずつ語り始めた。


「泳げないハズの
お母さんが
飛び込んできて」


腕を掴まれたとき
『彼』の腕かと

「期待してしまった私は
バカだよね…」


ジュンジュンの声が
震えていた。


「塩っ辛い水が
鼻に入ってきて

息ができなくて」


遠くなる意識の中


「お母さんが掴んでる
腕が痛くって。

『彼』は私なんか
まだまだ傍には呼んでは
くれないんだって

わかった」


電話のむこうから聞こえる
親友の声に

私はただただ
涙を流すだけで


「うん。うん」と
頷くのが精一杯で。


「…明日の便で
妹と日本に帰るから」


ジュンジュンと電話を替わった
ジュンニイに

フォローされる。