「…ジュンニイ
明日ニューヨークから
帰ってくるのに。

また入れ違いだね」


「アニキも忙しいくせに
よくマメに帰ってくるよね」


ジュンジュンが
私のお腹を撫でた。


「次の子は
オトコノコかな?」


「どうだろう。

どっちでもいいように
準備はしてあるんだけど」


「そっか。

楽しみだね」


私のお腹にいる赤ちゃん。


最初の子どもを
宿したときは

ジュンジュンは
お腹の赤ちゃんにばかり
話しかけてたけれど

今度の子には
そっけない。


…期待してたんだよね。

本当に『彼』が
生まれ変わってくるって。


「ジュナは食い過ぎだ」

娘がジュンジュンの脇腹を
チョークて突っついてきて

「このかわいいヤツめ!」
「ぎゃはははは」

ジュンジュンは娘を
何度も何度も抱きしめている。


「後は
『彼』に報告に行けば

私の役目は終わり」


え?

ジュンジュンの
何気ないコトバが

引っかかってしかたない。


「じゃ、ね」

淋しい
ジュンジュンの後ろ姿に

胸騒ぎを覚えてしまう。


「ママ〜、もう描くトコ
なくなっちゃったぞ〜」

娘が私のワンピースを
引っ張って催促する。