いつのまにか私の懐で
娘が寝息を立てている。
「その子は絶対
俺の生まれ変わりだから」
『彼』はそう信じて
亡くなってしまったけれど。
ごめん。
産んであげるコト
できなかったね。
お腹の子は
まだ性別もわからないけれど
何故か私も
『彼』の生まれ変わりでは
ない気がしていた。
「最初の子に
期待しすぎちゃったのかなあ」
ジュンニイは
「10人くらい産めば
どれかひとりくらい
当たるんじゃないか」
なんて
適当なコトを言っている。
ひとりでも子育ては
タイヘンなのに。
夜泣きに
激しい人見知りに
せっかく入った大学も
結局は中退するハメになって。
ジュンニイのお母さんも
『彼』のお母さんも
女手ひとつでよく育てたと
子どもを持って初めて
スゴイと思い知らされた。
「親孝行な子どもになってさ。
アイツをずっと
守ってやるんだ」
『彼』はそう約束していたのに
生まれてきた子は
親孝行からは程遠く。
「…ママ」
それでもわが子は
「憎ったらしいけど」
愛すべき存在で
私達の
大事な宝だった。