「着物って下着とか
つけないのが
本式なんだよ」

「うそばっか!」

「ホント。
お宮参りは神事だから
ちゃんと本式で行かなきゃ
神様に失礼になるぞ」

「また適当なコト言ってる」

「だって昔は
下着なんか誰もつけて
なかっただろ?
ブラなんか西洋文化から
きたんだし」

「……」


どこまで本当なのか
鵜呑みにはできなかったけど。

ジュンニイは
当然のように私を丸裸にして
腰巻を手慣れたカンジで
着せつけた。


「ヒメはこういうカッコ
似合うよな〜」

なんて

しみじみと上半身裸で
腰巻一枚の妙な姿に
戸惑ってる私の姿を
堪能している。


なんか薄い布きれで
半端にカラダが
隠されている方が
全裸より恥ずかしい気がする。


「…お母さんって
カンジがすごいするんだよな」

「!!!」

どういう意味だああああ!


すごいショックだった。

子どもを産んだばかりで
まだ体重も完全に
元通りとはいかないけど

これでも皆からは
充分スリムだって
言われてたのに。


「ヒメってさ。
ちいさい頃から
なんだかお母さんの
雰囲気持ってたもんな」

「え?」

「母性を感じさせる
ってゆ〜か」


ジュンニイは私に襦袢を
着せつけた。


ジュンニイのお母さんは
もうずっと前に
亡くなっていて

ジュンニイが
お母さんの話を
自ら進んでするコトは
なかったけれど。


…やっぱりジュンニイでも
お母さんを求める気持ちとか
あるのかな。


なんて。


「ヒメが着物を着るのって
高3の夏のバイト以来
じゃない?」

「だって、ママも私も
着付けなんかできないし。
お宮参りの当日も
ヘアメイクと着付け
予約してるくらいだもん」

「俺、できるから
それキャンセルしろよ」

「髪の毛とかちゃんと
結いたいし」


「まかせとけよ。

妹の七五三とか
全部俺が着付けて
髪も全部やってきたからさ」


え?