美しき獣
高校生になって
初めての電車通学。
初日から
いきなりスシ詰め状態で
死ぬかと思った。
「こんなコトなら
もう1時間早い電車に
乗っておくんだった」
そう後悔しても
ときすでに遅く。
「足が床から
浮いてるんだけど」
本当に希望の駅で
下車なんて
できるんだろうか。
学校の最寄りの駅から
さらにひと駅むこうが
かなりおおきなオフィス街で。
ほとんどのビジネスマンは
そこで降りるワケで。
「都心にある学校なんて
選ぶんじゃなかった」
朝から溜息が止まらない。
近所に住む
親友のジュンジュンは
チア部の朝練に
今日から参加するとかで
2時間も早く家を出ていて。
「私も明日っからは
早起きするぞ!!!!!」
ココロの中で強く誓った。
電車が駅で停車する度に
ビジネスマンをかきわけて
扉の近くに移動すべく
必死にあがく。
扉に近づいたと思った瞬間
新たな乗車客に簡単に
押し戻されて。
オフィス街まで
乗り過ごしちゃったら
「完全に遅刻だよ〜」
完全にパニック状態だった。
足を思わずバタつかせたら
誰かにスカートを引っ張られて
「あ、すみません」
少し冷静になる。
こんなトコで暴れたりして
常識のない自分の行動を恥じた。
なのに。
スカートは引っ張られたままで。
「あれ?
引っ張られたんじゃなくて
どこかに
引っかかったんだろうか?」
確認しようとした瞬間。
誰かの手が
後ろから
スカートの中に入ってきた。
ひえええええええええ。
痴漢!!!!!!!!