フットライトのわずかな光が
『彼』の瞳に反射して。


ああ、あのときと
同じ瞳だ。


獣のように
恐くて

官能的な『彼』の瞳…。


まっすぐに
私を見ようとしない
その瞳を縁取る
長いまつげが

セクシーすぎる。


私のカラダを堪能する
その舌は

餌を味わおうとする
野生の獣のようだ。


「あ…ッ、ん」


『彼』が私の中に
切なく入ってくる。


片想いだと自覚しながら
好きなオンナを抱くのなんて

どんな気分なんだろう。


そんな残酷なコトを
考えてしまう程

私のアタマは
正常に機能しては
くれなかった。


まるで宝物でも
扱うように

優しく


憎らしいと
言わんばかりに

激しく


美しい獣は

私を突きあげては
追い詰めていく。


「や…ッ、あ」


きしむベッドの
スプリングの音が

私の理性を押し込めて


『彼』のリズムが
私の鼓動に感応して

その指が
私の髪をかきあげた。


無数のキスと
『彼』自身が

私の仮面を剥がそうとする。


「…アナタなんか
好きじゃないんだからッ」


ココロにもないコトを
叫んでは
どこまでも抵抗を
試みてしまうのは

私自身がこのカンケイに
後ろめたさを
感じていたからで。


素直になれず

どこまでも
意地を張る自分がいた。