エピソード006
独身時代は
お義父さんとよくふたりで
銭湯へ行っていたという
ジュンニイ。
仕事が忙しくなって
日本にいる時間も
わずかだからと
プライベートな時間は
私と娘の3人の生活を
優先してくれていた。
「お義父さんとふたりで
銭湯なんて
ひさびさじゃない?」
「今日はこのコも
連れてくから。
ヒメは家で
ゆっくりしてればいいよ」
ジュンニイは
身重の私を気遣ってくれた
みたいなんだけど。
「もう3歳だもん。
おとなしくいいコに
出来るよな?」
「おうッ!」
娘も行く気満々で。
「…3歳にもなったからよ」
男湯に娘を連れていくなんて。
世の中には
よからぬ性嗜好をもった
オトコが大勢いる。
「…親父も
楽しみにしてるんだけどな」
ジュンニイは溜息を
つきながら
着替えを始めた。
胸元からおおきな傷痕が
覗いて。
「…ねえ。
その傷、お義父さんには
何て説明してるの?」
「あー…。
別に聞かれたりしたコト
ないし」
こんなに目立つ傷なのに?
「親父の方がもっと凄い傷
カラダ中にあるし。
お互い突っ込んで
話したコトなんてないな」
これより凄い傷が
カラダ中にって…。
「ほら、親父って
元・傭兵だからさ」
「軍人さんだったの!!!?」
「だから今は
その経験を活かして
SPやってるじゃない」
ジュンジュンからは
警備会社に勤めてるって
聞いてたから。
警備員さんかと思ってた…。
「ウチの母親と知り合ったのも
護衛をしたコトが
キッカケだったらしいよ」
…そうだよね。
警備員さんと女社長なんて
あまりにも接点が
なさすぎで…。
「ジイジといっしょに
銭湯行きたいッ!」
「そうだよな〜。
いっしょに行きたい、よ」
「なあ〜♪」
肩車された娘と
ジュンニイが
ハモってみせる。
「…だったらウチで
いっしょに入って貰ったら?
家族でわいわい入ったら
銭湯気分くらい味わえるよ」
そう提案したのは
確かに私だった。
私だったのだけど…。
「いくらウチの浴槽が
おおきいったって
4人は無理だろう?
あ、お腹の赤ちゃんも
入れると5人か。
皆で入れるかなあ…」
「……」
ジュンニイのジョークは
リアルでコワイ。
エピソード006
≪〜完〜≫
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