甘い夜♪甘い蜜♪


『彼』が亡くなって
1ヶ月が経った。

世の中は静かで
当たり前のように
梅雨の季節を
迎えようとしている。


私ひとり
取り残されているような

喪失感。


何もする気が起きなかった。


「明日はヒメの
19歳の誕生日だから」

突然決まった
ジュンニイと
初めての温泉旅行。


「本当は海外でも連れてって
やりたかったけど」

忙しいジュンニイが
何日も続けて
仕事を休めるハズもなく。


ただでさえ
私のコトが心配だって

海外の仕事は
皆キャンセルしてるんだって

親友のユッキが
彼氏のコージさんから
教えて貰ったと言っていた。


大丈夫だからって
口で言うよりも

態度や行動で示せば

ジュンニイだって
安心して仕事に集中できるって

わかってる。


でも
カラダもココロも
力尽きていて。

ヒトを思いやれる余裕なんて
どこにもなかった。


「内風呂ついてるから
ゆっくりできるぞ♪」

お風呂好きのジュンニイは
湯の温度を確認して

「入ろう!」

私を手招きする。


「……」


相変わらず
ノリの悪い私の傍によってきて

お人形さんのように
洋服を脱がし始めた。