「うおッお〜♪」


「でもよりにもよって
何でまり〜んずなんだろ。

ウチ、ママが
ライバル球団の
らいおんずのファンなのに」


「おッお〜♪」


「じゃあ、実家で
ママさんと
らいおんず戦を
見てたんじゃないっすか?」


「お〜お〜う、おッ♪」


「だとしたら最悪だ…」


ママはただでさえ
この子のやるコト為すコト
気に入らないコトが
多いというのに。


「お〜うおう、お〜♪」

…アタマが痛くなってきた。


「お〜う、おッお〜♪」
「お〜う、おッお〜♪」

コージさんまでもが
娘に合わせて歌い始めて

ふたり
ハイタッチしながら

娘がますます
調子づく。


「おッ、おッ、お〜♪」
「おッ、おッ、お〜♪」

ソファーのスプリングが
きしみだした。


「いい加減に…」

「せんかいッッ!!!」

私の声を遮って
娘を怒鳴ったのは
ユッキだった。


「おのれ、ガキだと思って

ヒトのオトコに
馴れ馴れしく
するんじゃないッ!!!」


「……」
「……」

し〜ん。


おっきな目を
ぱちくりして

「…おッ、おうッ」

娘がユッキの言い分を
受け入れる…。


いつも
私に注意されても
絶対に言うコトをきかない
この娘が…。