まあるいおしり002
近所に音楽教室が
できたって
チラシが入っていた。
この子、ちょっと
音痴なトコロがあるから
「幼稚園に入学する前に
少し習わせようかと思って」
子どものくせに
ちょっと声が低めで。
いつも「おう、おう」
言ってて。
どんな歌もみんな
同じに聞こえてしまうくらい
音の高低がなくて。
「神経質にならない方が
いいんじゃないかなあ。
味があって
かわいいと思うけど」
ジュンニイはわかってない。
1日おためし体験
とやらに
娘を参加させて
みるコトにした。
「1日で何教えて
くれるんだろうね」
興味津々でジュンジュンが
いっしょについてきた。
「何かさ。
私がちいさい頃に
近所にあった音楽教室と
同じ名前でさ。
思い出すなあ」
ジュンジュンは
その音楽教室に
『彼』が通って
ピアノとヴァイオリンを
習っていたと懐かしむ。
同じ年頃の子ども達に混じって
娘がドレミファを習う。
「声が野太いし
ひときわ
おおきいいから
すぐわかるね」
ジュンジュンが
ガラス越しの娘を
指さして苦笑する。
私は器楽演奏は
怪しかったけれど
声楽はそこそこ
点はよかったし
ジュンニイだって
学生時代
バンドで
ヴォーカルやってたくらい
上手だ。
「…たぶん
ウチのママからの
隔世遺伝だと思うんだよね」
溜息が出る。
「だとしても
そんなコト
ヒメママには言わない方が
いいんじゃない?」
「わかってる」
ママがこの子のコト
これ以上
煩わしく思われたら
タイヘンだ。
音痴のママに
歌い聴かせて貰った曲は
みんな本来の
メロディーラインとは
程遠くて。