「知恵はあるのよねえ」

ママがわが家の野生児を見て
苦笑する。


パパはセラーから
シャンパンを取り出して

孫が用意してくれた
柿ぴ〜をツマミに
晩酌を始める。


「おっと、そ〜っと
つぐんだぞ」

孫にお酌させて
パパの目じりも
すっかり下がっていて。


「情けない顔〜」

ママが嫌味を飛ばす。


まったくパパは
孫には弱いんだから。


「ちいさな子どもに
お酌なんかさせて。

ジュンニイが見たら
何て言うか」

「あら、ジュンイチくんは
そんなコトくらい
見て見ぬふりを
してくれるわよ」


…そうかもしれないけれど。


「ジュンイチくん。
婿養子だもん。

それくらい我慢するのは
当たり前でしょ」


…ママはときどき
コワイコトを平気で
口にする。


「ジュンニイは
パパにだって

言うべきことは
ちゃんと言ってくれるわよッ」


「アナタが
尻を叩くからでしょ」


ママがからかうように
私の顔を見た。


「尻なんか叩かないよ」

「尻には敷いてるじゃない」


って。

「…そんなコト、ないもんッ」