「ヒメってさ。
俺と撮った写真って
ほとんどないよな」
「いっしょに写ってるのは
ほとんどフォトフレームに
入れて飾ってあるから」
「え?
あれだけしかなかったっけ?」
そうなのだ。
私もジュンニイもカメラを
持ち歩かないから
ふたりで写ってるのって
他のヒトに貰ったヤツ
くらいしかなくて。
「ケータイのフォルダには
結構たくさんあると思うけど」
「後で画像を俺のパソコンに
送っとけ。
ディスクに
保存しといてやるから」
そんな話をしながら
ジュンニイは
今度は卒業アルバムを
取り出してきた。
「あ、それ
私もまだ見てないんだった」
卒業してすぐに
この家に転がり込んで
何だかんだで
忙しかったから。
「見て!
ジュンジュンがこんなに
おおきく写ってるよ!」
親友のジュンジュンは
チア部の花形スター的
存在だったから。
「俺の妹なんだから
カッコイイのは
当たり前だ」
何て言いつつ
ジュンニイってば
顔が嬉しそうだよ〜。
「ヒメは何部に入ってたの?」
「…部」
「え?」
帰宅部なんておおきな声じゃ
言えないよ。
「……」
卒業アルバムを捲っていた
ジュンニイの手が止まる。
「あ…」
そこには『彼』の写真が
載っていて
ちょっと驚いた。
私が前につきあっていた
カラダのカンケイがあった
私の初めてのヒト。