そのコトはジュンニイも
よく知っているって
わかっているから


「入学式のときの
集合写真じゃないかな。
胸に白いリボンつけてるから」

私は顔色ひとつ変えずに
さらりと答えた。


「にしても
この写真はないよなあ」


ジュンニイが苦笑いしてるのも
もっともで。

ピントの合ってない
『彼』の写真は
無理やり引き伸ばされていて。


「前髪で顔がほとんど
隠れちゃってるし
名前が書いてなかったら
俺、見落としちゃってたよ〜」


私の前のオトコの写真を
ジュンニイは
優しい眼差しでみつめている。


「あ、ヒメの写真もみっけ!」


ジュンニイが指さした
その写真には

親友のユッキとジュンジュンと
私が3人で教室で
ふざけてる様子が写っていて。

「楽しそうだな」

ヘン顔をしている私に
鬼ウケしている。


…卒業アルバムの編集委員め。
ずっと根にもってやるううう。


ジュンニイから
卒業アルバムを
取り上げようとして

「ちょっと待って」


ジュンニイのマジな声に
手が止まった。


「今の写真にも
『彼』が写ってた…」


ジュンニイの指摘に
写真を凝視する。


「…ホントだ」

窓にもたれかかるようにして
立っている『彼』は

おどける私を
微笑みながら
遠くからみつめていて。


『彼』のトコロだけ
写真を切り抜いたら
外国のポストカード
みたいだ。


そこだけ別世界で。

「『彼』が教室で
笑ってるトコなんて
初めて見た気がする…」