自分の母親が人前でも
平気で乱れまくっていたのが
すごく汚い行為のように
幼い頃の『彼』に
すりこまれていたのか。
もっともそんな考えが
出来るようになったのは
自分が子どもを持つように
なってからで。
「…痛いよ」
幼かった私は
思ったコトを何でも
そのまま『彼』に
ぶつけてしまっていた。
あれはダメ。
これはイヤ。
「そんなコトはしないで」
平気で口にしていた。
普通のオトコノコなら
こんなメンドクサイ
オンナノコなんて
相手にしたくはないだろう。
それでも『彼』は
私のカラダを
大切に大切に抱いていて。
『彼』に中の何よりも
私は優先されているって
自覚はあった。
だけど。
唯一の例外。
それが電話だった。
今までだって
その行為の最中に
何度か電話が鳴ったコトが
あったけど
どんなに
盛り上がっていようと
部屋にフロントから
かかってくる電話には
絶対に出た。
電話なんか無視しそうな
タイプなんだけど。
「…行かなきゃ」
「え?」
その日の『彼』は
電話を切ったかと思うと
脱ぎ散らかしていた
制服を手早く着て
部屋を出て行ってしまった。
「あの…?」