エピソード001


テレビの撮影クルーが
自分の学校にきて

しかも自分のクラスメイトが
目の前で取材されてるって
ゆ〜だけで

緊張して
舞い上がっていたなんて
情けないけど。

それにしたって
あそこまで
怒る必要はないと思う。

皆の前で机を蹴り飛ばされ
もうスゴイ恐かった。

あの日以来
その気まずさから
『彼』を意識的に
避けまくっている。


『彼』を避けるという行為は
『彼』を意識せずには
いられないコトだって

その頃の私は
まだ自覚がなかった。


『彼』が同じ教室に
いるというだけで
緊張したし

姿を見なけりゃ見ないで
「どこ行ったのかな」って
気になった。


でもこっちが
これだけ意識しているって
いうのに

『彼』は私なんて
眼中にないってカンジで

どんなにガン見し続けても
目さえあうコトが
なかったから。


「相当嫌われてるんだな」

あんまりいい気はしなかった。


私が日直だったときも

教室の皆からプリントを
回収していたのだけれど

『彼』だけは自分の席に
座ったままで。


「…プリント記入終わった?」

思い切って声をかけてみた。


「……」

相変わらず、無視ですか…。


あのときはごめんなさいって

このタイミングで謝っちゃえば
よかったんだけど

『彼』の手元にあった
プリントに
英語で挑発的なコトバが
殴り書きしてあって。


よく洋画なんかで

不良少年が中指を立てて
このセリフを言いながら

相手を挑発しているのを
見かけるけど。


…私にむかって
書いたのかな、これ。

何かショックだった。


怒っているんだろうなって
わかってはいたけれど

「……」
「……」

嫌われちゃったんなら
しょうがない。


私はプリントをそのまま
回収しようとした。

ら。

取り上げられて
そのままビリビリに
破り捨てられる。


「何やってんのよ!」

親友のユッキが
駆け寄ってきた。

『彼』はうっとおしそうに
席を立って

教室を出て行って
その日はそのまま
戻ってはこなかった。


何でこうなっちゃうんだろう。

溜息が止まらない。


春の風はまだまだ
冷たくって

私はそっと窓を閉めた。





エピソード001

≪〜完〜≫



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