「…俺、同情されてるワケ?」
「わかんない」
「わかんないって、何だよ」
「聞かないでよ」
少年Aの手が
私のカラダを探る。
「逃げないの?」
「どうして?」
「……」
少年Aのカラダがが
私により密着してきて
「俺、何するか
わかんないよ…」
「…知ってる」
私は少年Aの左手の傷に
触れる。
このヒトが
ふつうの紳士じゃないって
嫌という程感じてた。
夜の匂いがする
スナックなんかで
バイトなんかしてる
マセた少年に
私は簡単に唇を
許してしまった。
「…こわくないの?」
「ちょっと、こわい、かな」
私の上に重なった
そのヒトの顔を初めて
まともに正面からみた。
キレイな知的な瞳。
殺人なんかするような
短絡的なヒトには
やっぱりとても見えなかった。
ビジュアル系の
ロッカーばっかり
追っかけてる
妹なんかがみたら
夢中になりそうな
整いすぎた顔だった。
「どうして初めての相手に
そのヒトを選んだの?」
なんて
このヒトのルックスを見たら
愚問だったと
誰もが思うだろう。
でも
慣れてるんだろう
リードして貰えば
いいんだって
思っていたのに
その手はぎこちなくって。
ブラのホックすら
満足に外せないなんて。
「…もしかして初めて、とか?」
「う」
図星されて
少年Aが赤面する。