新聞の中の
自分の記事の

新事実。


「死体の鴨野家の中に
残されていた
凶器と思われる
花瓶の欠片…って」


「俺はあの女を
突き飛ばしたけれど

殴ったりはしていないし

ましてや花瓶なんて…!」


あのとき。

店の金が無くなったって
そのスナックの
女性経営者が少年Aを
疑ってかっかってきて


「泥棒呼ばわりされて
確かにアタマには
きていたけど」


話は自分のマンションで
ゆっくり聞くからと

場合によっては
売り上げに手をつけたコトに
目をつぶってあげても
いいわよって

誘ってきたという。


「偽名を使っていたコトも
バレててさ。

確かに俺が不利な状況
だったけど」


ハメられてるって
直感して

思わず
しなだれかかってきた
そのオンナを
振りほどいたら


「カウンターで
アタマを強く打って」

「救急車は呼ばなかったの?」

「いや」

そのときはそのオンナの
意識ははっきりしていて

たまたま出勤してきた
店のバーテンダーが

警察に通報されたら
補導されるからって

後は任せておけって


「俺を逃がしてくれたんだ」

「じゃ、アナタには
何にも非がないじゃない!」

「…だけど
その後、すぐにそのオンナから
ケータイに電話が
かかってきて」

こんなコトしておいて
ただで済むと思わないでねって

電話口で脅したかと思ったら

突然電話が切れて。


「その場にいた
バーテンダーから

電話の途中で
オンナが突然頭痛を訴えて

倒れて
死んじまったって

連絡がきた」


ちょっと待って。

「今の話だと
アナタが殺したって
限らないんじゃ…」