「大丈夫?」
倒れこんでいた私を
婦人警官が
抱き起こした。
涙でぐしょぐしょの
私の顔を見て
恐かったでしょう。
もう安心していいからね」
なんて。
少年Aと私の関係は
誰がどうみたって
犯人と
監禁されていた人質で。
あんな風な逃げ方したら
誤解されるのも
当然で。
どうしてよ。
私が知らないって
言い張れば
それで回避
できたかもしれないのに
ワケわかんないよ!!!!!
「ショックなのは
わかるけど
ちょっとお話
聴かせてくれるかな?」
婦人警官と
もうひとりの警官が
私を抱え込むようにして
部屋のソファーに
座らせた。
「さっきから
何もしゃべってくれないけど
まさかあのオトコノコを
庇ってるんじゃ
ないわよね?」
「……」
「庇ったりしたら
犯人隠匿罪っていう罪になって
アナタも罪に問われるのよ」
犯人…隠匿罪…。
もしかして
私を罪から守る為に
わざと…。
「そんなワケないじゃない!」
「あ、こら!
どこに行くの!!」
気がつくと私は
裸足で走ってて
マンションの階段を
転げ落ちんばかりに
駆け降りていて
「アナタが大事なのは
私じゃなくて
お姉さんだったハズ
じゃないのおおお!!!」
なのに
何で
どうして私なんかを…!
少年Aを乗せた
パトカーのちいさくなった
後ろ姿に
何度も何度も
私は叫び続けた。