「…家族とか
3日も家に
帰ってこなかったら
心配して
警察に連絡したり
するんじゃないの?」
「家族はアネキだけだ。
そのアネキも
婚約者と海外に行ってるから」
「…こんなときに
婚約者と海外旅行って」
呑気なお姉さんねって
いわんばかりの言い方が
少年Aの逆鱗にふれる。
「何も知らないくせに!
アネキがどれだけ
俺の為に自分の人生を
犠牲にして
一生懸命
働いてきてくれたか…!」
そんなお姉さんが
ようやく掴んだ
エリート弁護士とのしあわせ。
「…明後日がアネキの
結婚式なんだ。
ふたりきりで
ハワイの教会で
式をあげる予定でさ」
こんなコトで
結婚式を取りやめなんて
コトになったら
「俺、生きていけねえよ…」
少年Aの声が震えていた。
「でも結婚したあとに
発覚したら
結婚相手にだって迷惑が…」
「アネキが選んだヒトは
こんなコトくらいで
アネキを見捨てたりしない。
いいヤツでさ。
そいつも
その家族も」
家柄が違い過ぎるって
アネキの方が
結婚式を躊躇してたときも
想い出は大切だから
ウェディングドレスは
着なさいって
ご両親の粋な計らいで
ふたりっきりの海外での式を
プレゼントして
くれたのだという。