そんなある日。


「写真送ったら
書類審査通っちゃった♪」

って。

コウのお母さんが
私のオーディションの
書類審査合格の通知をもって
我が家にやってきた。


ママもパパも
びっくりしてたけど


準グランプリの商品が
ハワイの旅だと知って
掌を返して。


「どうせグランプリは
無理だろうけど

準グランプリくらいなら
なんかの間違いで
とれるかもしれないって」

などと楽観視していたのだが。


大手航空会社の
イメージキャラクターの
仕事は

おおよその予想を裏切って

「すれてない新鮮さがいい」と

航空会社の社長さんの
鶴の一声で
グランプリは私に決まって。


私の生活は一変した。


コウのお母さんが
芸能の仕事に興味が
強くって

私のマネージャーみたく
なってて。


「ちゃんと護衛するのよ」

って
コウはとんだとばっちりで
私の送り迎えをさせられてる。


「朝練、出れなくなっちまった」

私にこぼしながらも
自転車で毎朝
私に並走してつきあってくれた。


ふたりっきりで
何かをいっしょにするなんて
小学生以来だったから


ううん。

それだけじゃなくて

私の為に
あのコウちゃんが
高飛び込みを犠牲にして

時間を使ってくれてるって
事実が

たまらなく快感だった。


「1年間の辛抱だろ?」

航空会社との契約は1年間。


芸能界なんて世界で
生きようなんて
これっぽっちも思っては
いなかったから

どこの事務所にも所属しないで
活動していたのだけど。

テレビに雑誌に
キャンペーンに

仕事だけは毎日たくさん
詰まっていて。


そのほとんどが
水着の仕事だった。