「目、閉じてるとさ。
おまえ、ホント
ちいさい頃のまんまなのな」
コウがちょっとだけ
笑って見せた。
「この薄っぺらい
ちいさな唇なんか
全然かわってない」なんて
私の唇を
その指でいじったモノだから
コウは
「…キスしたコトある?」
なんて
思わず訊いてしまってて。
「あ、いいよ。
ごめん、答えなくていいから」
慌てて取り消した。
なのに
「…あるよ」
もう数えきれないくらい
キスを贈ってきたから
なんて
「そ、そ〜なんだ。
コウはすごくモテるもんね」
まさかコウが
こんな質問に答えるなんて
思いもしなかったから
凄く動揺した。
「ファーストキスは
小学生のときかな」
…知らなかった。
いつも傍にいて
誰よりもコウのコト
知っているつもりだったのに。
凄いショックだった。
「どこの馬の骨かも
わからないような外国人に
ファーストキスを
もってかれるの
泣くほどにイヤか?」
コウの質問に
私は首をおおきく縦に振って
答える。
「…くだらねえの」
予想外のコトバに
悔しくて思わず
コウのほっぺを
ひっぱたいた。
「コウにとっては
ファーストキスなんか
キスのうちのひとつかも
しんないけど
私にとっては
すごく大事で
意味のあるモノだって
思ってる!!」
「…いいじゃん。
そんなの」
「よくない!!!!!」