ウチにはネコがいるから
かかりつけの動物病院が
あったから

ケータをそこに案内して。


おまけにケータは
お金も持っていなかったから
わたしが立て替えて。


「俺、金欠だから
ちょっとずつ返すな」

って
毎月五百円ずつ
こっそり返して
貰ってたんだけど。


それがクラスメイトから
つきあってるんじゃないかって
疑われてる原因になってて

「親切にも度が過ぎるよね〜」

なんて
言い訳すればする程
怪しまれてしまってて。


でもさ。

あのときの
ケータの必死な様子をみたら
誰だって手を貸したく
なったと思うよ。


あのときの犬のコトだって
やっぱりその後が気になって

ついついケータの家まで
見に行ってしまうんだよね。


凄く私になついてくれてて
遊びに行くと
飛びついて歓迎してくれるから

さすがのネコ派の私も
犬もかわいいかな、なんて
ちょっと目じりも
下がってしまう。


「よく飛び付くし
雨の日にケロに救われたから
名前はぴょんキチにしたぞ」

なんて

ますますクラスメイトに
誤解される要因になっていて


…困った。

「サッカー部の
フカザワ先輩のコト
あれだけ熱心に追いかけといて

フカザワ先輩が
退学したとたんに他のオトコに
鞍替えしたなんて

言い出しにくかったのは
わかるけどさ〜」


などと

勝手にどんどん
話ができあがってしまってる。


サッカー部のフカザワ先輩は
私の憧れの
サッカー部のスター選手で。

この高校に
願書を出しにきたときに
その勇士を見て

「王子様だああああッッ」


…ひと目惚れだった。


高1の去年は

雨の日も
風の日も

交通ストの日も

毎日欠かさず
サッカー部の練習を
観に行ってて。


同じくフカザワ先輩目当ての
オンナノコ達に混じって

きゃーきゃー言ってった。


私だけじゃなく
フカザワ先輩を
追っかけてたオンナノコ
皆がそうだったのだけど

遠くから
声援を送るのが
精一杯で


ステキ過ぎて
何度も気を失いそうになった。