近くにあった適当なカフェに
ふたりで入る。

誰かに見られてまた
誤解されるのも面倒だったから

ちょっとオトナっぽい雰囲気の
敷居が高そうな店を選んだ。


なのに

「好きなモノ頼んでいいよ」
なんておおきなコトを言うから

特大パフェを頼んでやる。


「…マジ、食いきれるのかよ」

ケータは凄くヒイていたケド


やけ食いでもしなきゃ
やってられなくて。


でも

胸がいっぱいになってきて
3口めでもう
スプーンが進まなくなって
しまった。


「何やってんだよ〜。
勿体ねえだろうが」


それみたコトかと
ケータは私からスプーンを
取り上げて

特大パフェに
挑みだした。


「…甘いモノ、好きなんだ?」

呆れるほどのハイペースで
平らげていく。


「甘いモノは本当は
試合直前にしか食べない。

節制してるから」


「…だったら!」

「食べモノを無駄にするのは
もっと許せない」


「…ごめんなさい」

「何だよ。
素直なのも気持ち悪いぞ」


「…だって」

もう軽口で返す気力も
起こらない。


それからふたりは
無口になって

黙々と特大パフェを
消費して。


「そいじゃ」

「うん」


駅で別れた。


翌日、学校であっても
どこか気まずくて

お互い避け合ってた。


フカザワ先輩のコトを
しゃべるんじゃないかって

見張られてるのは
わかってた。


痛いくらいケータの
視線がこっちに
向けられていて

振り返るのが恐いくらいで。


「信用されてないんだな」


溜息がまた洩れる。


放課後になって
この緊張感から逃げたくて

終業のベルとともに
一目散に駅に向かった。


もうフカザワ先輩のコトは
忘れたいんだから!!!


そうココロの中で
叫んでいた私だったのに

こんなトコロで
こんなヒトに遇うなんて


私の運のなさも
相当だと思った。