「今ね。
カエデさんといっしょに
お鍋の準備してたの!」


って

全然説明になってないよ。


結局そのまま
食卓に座らされて

今度は4人で
天使のおママゴトに
付き合わされる。


「お肉なんて
ひさびさだね♪」

肉屋の息子のケータの
手土産に
無邪気に喜んでいるけれど。


…毎日必死で働いて
食わしてる
フカザワ先輩の立場
ないよね。


自分の取り皿には
野菜ばっかりで

天使の皿にばかり
肉を入れている
甲斐甲斐しい
フカザワ先輩の姿を
見ていると

何だかすっごく
哀しくなった。


全ては天使のペースで
進んでいって。


お鍋の底がつく頃には
もう辺りは暗くなっていて。

「送ってってやるよ」


バイクのカギを
ケータが見せる。


「バイクの免許なんか
持ってたんだあ」

「取り立てほっかほかでっす」


ありえない!!


初心者マークの
バイクなんか
恐ろしくて乗れないよ!!!


なのに。

「ケロちゃん大丈夫だよ。

さっき乗せて貰ったけど
コイツ意外と
安全運転だったから」


って。

ヘルメットを先輩に
被せられた。


ちょっと前だったら
その場でキュン死
してたと思う。