「どうしたの?
ダンナとケンカでもしたの?」

教室でクラスメイトが
嫌なツッコミを入れてくる。


「…ダンナって
ケータのコトッ!?」

「他に誰かいるの?」

「ケータとは最初から
何にもないしッ!

むしろムカつくヤツなのッ!」


教室の端で
友達とじゃれていた
ケータにも聞こえるように
わざと大声で答えた。

「あんなヤツ
嫌い! 嫌い!
超〜嫌い!!!!!」


「……」

ケータの顔がマジになった。


「…皆の前でそこまで
強調しなくても」

クラスメイトも皆して
ケータに同情的で。


「皆、アイツがどんな
意地悪なヤツか知らないから
!!!!!!!」

し〜ん。


皆の冷やかな目。

何だ。
この教室の空気はッ。


まるで私が
凄い悪者みたいじゃないか〜。


「俺ってかわいそうだよな」

ケータがぽつんと呟いて。


「かわいそうなのは
私なんだからね!!!!!」

ケータに向かって
ヘン顔をお見舞いしてやった。


張りつめた空気が
イッキに和んで


今度は思いっきり
クラス中の笑い者になる。


率先して
お腹をかかえて笑っていたのは
ケータで

思わず本気で
殺意が芽生えそうになった。


それ以来

借金の返済のみでしか
ふたり近寄るコトも
なくなっていたのだけれど。


ある日

ケータに腕を掴まれ

夕暮れの
体育館倉庫の裏に
連れ込まれた。