約2時間の籠城の後
私達ふたりの顔を見て
初めて人違いだとわかって
警察のヒト達が
大騒ぎしてる。
そのスキに列車を降りて
知らない街に紛れ込む。
「私達まで逃げる必要なんて
なかったんじゃない?」
「ば〜か。
あんなトコロで
オトコとオンナが
長時間立て篭もって
何してたんだって
説教されるのがオチだろうが」
「…長時間何してたって」
ふたり冷静になって
赤面した。
ケータの指が
私の指に触れて
そっと私の手を握る。
「帰ろっか」
「うん」
そこまではよかった。
よかったのだけど。
「おまえ、帰りの交通費
財布の中に残ってたよな」
「タクシーで半分
使っちゃったから」
って
「ないッ!!!!!!」
「ないってまさか…」
「財布もケータイも定期も
制服のポケットの中だ!!!」
「ウソだろ!?}
どうやって帰るんだって
ふたり夜道の街灯の下
アタマをかかえた。
「あ、ちょっと待って」
妊婦の服のポケットに
天使の財布が入ってる!!
「うおおおおお!
俺達ってラッキー」
喜んだのもつかの間で。
「267円…って」
小学生でも
もっと入ってるよ!!!
「とにかくこれで連絡はつく。
アニキに電話して
車で迎えに来て貰うよ」
なんて
ケータはいつになく
前向きで
電話をかけた残りで
ふたり
菓子パンと
ジュースを買って
分け合った。
どっちが多いとか
たくさん飲んだとか
そんな言い合いを
ふたりでしながら
「お金がないっていうのも
けっこう楽しいね」
迎えがくるまで
駅の傍のコンビニ前で
時間を過ごす。
ケータのお兄さんには
悪いけど
迎えに来るの
もう少し先でも
いいのになあ
なんて
よからぬコトを
考えてしまう
ロマンティックな夜だった。
ルールなんて知らない
≪〜完〜≫
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