フカザワ先輩
私のコト
覚えてくれてたんだあああ。
しかも
私のコト
センスがいいなんてええええ!
照れますッ!
照れますッ!
私って単純〜!
「まずは
テーブルクロス選びね!」
うっとおしいケータにすら
優しくしてあげたいと
思えるくらい
全世界のヒトに
このしあわせを分けて
あげたい〜〜〜!!!
「…ケロ。おまえ
さっきからピンクばっかり
選んでるけど」
「い〜のよ!
汗臭い野郎がやるカフェなんて
これくらいしないと
オンナノコ
寄り付かないんだから」
なんて言い訳する。
だって私の中は今
まっピンクなんだもん。
恋するオンナに
こんなモノを選ばせる
ケータが悪いんだからね〜!
レンタルショップで
ひと通り予約して
「じゃ、これで」
ケータと別れようとしたのに。
「あ、待って。
昼飯、おごるよ」
なんて。
意外なお誘いで。
「…そんなお金あるんなら
動物病院の借金、返してよね」
「いや。これは部員から。
お礼に何かおいしいモノでも
食べて貰ってこいって」
なんだ。
そ〜ゆ〜コトね。
「せっかくだけど」
貴重な休日を
ケータなんかと過すなんて
勿体ない。
「フカザワ先輩の
お気に入りの店なんだけどな」
コイツってば
どこまで私のツボを
知ってるんだ〜〜〜〜!
「…行ってもいいかな」
私のOKに
ケータは苦笑して
「ホント、フカザワ先輩が
お気に入りなんだな〜」
私に背中を向けて
ひとりで歩きだした。
「……」
そういう言い方しなくても
いいじゃない。
黙って返事をせずに
立ちすくんでいる私に
「おら、おいてくぞ!」
そう声をかけて。
私の傍まで戻ってきたと
思ったら
私の手首を掴んで
歩きだした。