「やだ、ちょっと!」
こんなトコロを
誰かに見られたら
また誤解される。
なのに
ケータは私にそのコトバを
吐かせない。
おおきな歩幅。
ケータは
早歩きしてるだけなのに
手首を掴まれてる私は
完全に小走り状態で。
…足、長いんだよね。
サッカー選手だから
筋肉がしっかりついてるのは
当たり前なんだけど
カラダだけみたら
プロ選手にも
引けを取らないと思う。
練習のときだって
フカザワ先輩とふたり
シルエットが
他の部員とは違うから
練習場でケータを
みつけるのは簡単だった。
こんないいカラダを
しているのに
2年生になっても
レギュラーじゃなく
練習も1年生といっしょに
別メニューなんて。
よほどセンスがないか
監督さんに
嫌われてるかだよね〜。
なんて考えてたら
突然ケータが立ち止って。
「わッ!」
勢い任せて
転びそうになって
思わずケータの腕に
しがみついてしまった。
「急に立ち止まったり
しないでよ!」
怒鳴る私なんか
ケータの眼中にはなくて。
「…フカザワ先輩…!」
ケータのつぶやきに
私は顔をあげる。