「フカザワ先輩が突然消えて
皆落ち込んでますよッ!

大会の予選も近かったのに
何でこんなタイミングで
家出なんて…!」


「家出してたんですかッ!?」


思わず関係ないのに
私は大声を
出してしまう。


家庭の事情で退学したって
聞いてたから

凄いびっくりした。


「…ケータの彼女?」

フカザワ先輩が私に
話しかけてくる。


「違いますッッ!!!
ただのクラスメイトですッ!」


チカラいっぱい否定した。


「…ケロ、おまえ
声がおおきいんだよ」

ケータの眉間のシワが
ますます深くなった。


「…ごめんなさい」

「フカザワ先輩の前では
シオらしいでやんの!」

ケータは意地悪だ。


「クラスメイトってコトは
俺の後輩かあ」

「はいッ!」

ケータを横目で牽制しつつ
優等生に答えてみせる。


「…といっても
俺、もう退学したから
カンケイないか」


「そんなコトはありませんッ。

フカザワ先輩は
私の中では
永遠にフカザワ先輩
ですからッ!!」


何のこっちゃ、と
自分で自分に
ココロの中でツッコんだ。


「元気だねえ。
ハンバーガーもっと食べる?」

「はいッ!!」

「…おまえ、ちっとは
遠慮しろよ」


私はうるさいケータを
睨みつける。


こちらに背中を向けて
ハンバーグを焼き始める
フカザワ先輩に
聞こえないように

「何がセンスのいいコよ!
先輩、私のコトなんて
全然覚えてないじゃないの!」

ケータに耳打ちする。