そうよ。


あんなの
同情心いっぱいで
好奇心で近づいてきてる
だけなんだから。


友達なんかに
なれるワケ

ない。


「…なあ。
おまえって
東京育ちなんだなあ」


ど〜りで
ナマリもないし

「どこかアカぬけてるって
思ってたんだよね」


サトルは不機嫌な
私の機嫌をとってきた。


「俺は生まれは川崎なの。
神奈川県。

川崎大師とか
川崎球場って知らない?」


聞いたコトくらいあるけど。


「マーガレットもね
川崎生まれの川崎育ち
なんだよね」


え?


「初めてあったときは
もう掌に乗っかるくらい
ちいさくってさ。

栄養失調で
ふらふらしてて。

その反動でか

今ではすんごい
デブネコに
なっちゃったんだけど」


「…ふ〜ん」

そんな頃も知ってるんだ。


「ああああああ!!」

「えッ?」


突然港を指さしながら
叫んだかと思ったら

サトルは猛ダッシュで
自転車を漕ぎ出した。


ウソ!!!!!


まさか
ごろ〜まるが
私の部屋から抜け出して…!


私も慌てて
ペダルを踏む。


サトルは港を歩いている
漁師の姿を見て

「おやっさん!」

なつっこく
声をかけた。


「ほら!
今朝、ネコのコトで…」


「ああ!
東京から来た兄ちゃんか。

ウチのおかあちゃんが
騒いでたけど

明るいトコでみたら
もっといいオトコよの〜」


「ケータイの画像じゃ
ちいさくて
よくわからないってコト
だったので」


見てくださいって

A3サイズの紙に
まるで手配犯のように
プリントされたそれを

目の前に広げた。