ごろーまるは
でぶっちょで気ままな
元・野良ネコで。


都会のマンションに
住んでいたとき

いつもウチを
散歩コースの通り抜けに
使っていたという
ずうずうしいヤツだ。


たまにエサをやっても
野良のくせに
好き嫌いはするし。

ブサイクのくせに
睨みをきかせて
めったに触らせない。


でも

不思議と私が
落ち込んでるときには

着かず離れず

ずっと傍にいてくれて

たまには
ダッコさせてくれたりして


優しいヤツでもあったんだ。


真夜中に
ヒト目を避けて
夜逃げのように
都会のマンションから
引っ越したときも

何故か
トラックの荷台に
ごろーまるが
乗っかってて

知らずにこんな田舎まで
連れてきてしまっていた。


「首輪もないし
こんな汚くて
見た目の悪いデブネコ
飼いネコじゃないよね」


おかーさんも
おばーちゃんも

「ここで飼ったらいいよ」

って
新しい家族を
歓迎してくれて。


ごろーまるも
港が近いこの新しい環境に
あっと言う間に
馴染んでいる。


おかーさんの働く港でも
すっかりアイドルネコと
化していて

「都会のネコは
やっぱり違うね〜」


その堂々たる姿は
他の港のネコを圧倒し

1日でボスとして
君臨するようになってると
おかーさんが苦笑していた。


「おまえが羨ましいよ」


お腹をだして
安心しきって眠る
その野良らしくない姿は

何だか
ギスギスしてしまっていた
私の気持ちを
やわらかくしてくれる。


こちらの言うコトは
何ひとつ
聞いてはくれないけれど


傍にいてくれるだけで
充分にしあわせを味わえた。


なのに

そんなごろーまるを

「俺のネコだ!」

返せと

飼い主だと主張する
オトコが
現れるなんて…。