…そうなのだ。

なつっこそうに見えて
ごろーまるは

かなり警戒心が強い。


だから

「…野良だとばかり
思いこんでた」


私はポロリと
言い訳をしてしまっていた。


「……」

サトルは出された水蜜桃を
頬張りながら席を立つ。


「今、曲のアイデアが
たくさん出てきててさ。

アタマ止めたくないから

しばらくここで
このまま仕事に
集中するコトにした」


後でコーヒー
持ってきてって

サトルは言い残して。


その後をずんぐりした
ごろーまるが
当たり前のように
ついていく。


「ぶみゃ〜あ」

自分にもエサを持って来いって
言わんばかりに
私に向ってひと鳴きした。


「おまえも水蜜桃
食べるかい?

よく冷えておいしいよ」


おばーちゃんが
声をかけてくる。


「あ、私は…」

「この水蜜桃
おまえに食べさせて
やってくれって

公設市場のゲンさんが
届けてくれてね」


今日、学校で
一日中泣いてたって
言うじゃないかって。


「村の皆が
もう知ってるんだ」