ううん。
さっきまでの
柔和なやさしい雰囲気が
別人のように厳しくなって
サディスティックな
眼差しが
私を責める。
キレイな顔で睨まれて
息を飲んだ。
「…いえ。
マーガレットさん
早くみつかるといいですね」
なんて笑ゴマしながら
退出する。
フスマを閉めて
「ほおおおおおおおおお」
ひと息漏らしたら
足もとに覚えのある
感触が…!
「ぶみゃ〜ご!」
特徴あるごろーまるの
鳴き声。
思わずごろーまるをかかえて
ダッシュで逃げた!
「あれ?」
フスマが派手に開く音が
遠くでして
「気のせいか」
オトコの声に安堵する。
…でも
みつかるのは
時間の問題だよね。
ごろーまるに
引っ掻かれながら
客室から一番遠い
自分の部屋に監禁する。
わざと
おおきめの音量で
メタル系のCDを
かけたりして。
…困った。
こんなコトをしても
見つかるのは
時間の問題だった。
ごろーまるは
港ではもう有名ネコで。
こんな特徴のある
ブサイクネコなんて
そこらにはいない。
見つからないように
するんじゃなくて
見つかったときに
何て言い訳するか。
ごろーまるは
こんなブサイクでも
今の私の唯一の
ココロの支えで
返すなんて
考えられなかった。