夕食を終えて
早々にディレクターは
帰路につく。

「仕事しろと
ときどき釘をさして
おいてくれ」

って頼まれた。


「コーヒーは1時間おきに。
ミルクと砂糖をたっぷりめに」

チップを貰ってしまったので
耳の悪いおばあちゃんと
交替でコーヒーを届けにいく。


12時を回っても
いっこうに就寝する様子を
見せず

相変わらず
部屋の隅っこで
丸くなっている飼い主を見て

いい加減
その女々しさが
ウザくなってきた。


「眠れないんだったら
仕事すれば!?」


見慣れない機材の
電源ボタンをどんどん
押していってやったら


停電した。


ひえええええええええええ。


奥からおばあちゃんの
悲鳴が聞こえる。


「おばーちゃん!
おばーちゃん!
おばーちゃん!!!!」


真っ暗やみの中
機材でアタマを打ちつけて

ちょっとした
パニックに陥った。


それでも
何とか前に進もうとした

のに


突然
足首を掴まれて

ふとんの上に
転んでしまった!!!!


「何するのッ!!!!!」


「ブレーカー
どこにある?」

「え?」

「電気許容量、越えただけだ。
いちいちパニックするな」


って

アンタが足首
掴んだんでしょうが!!!!


飼い主が
自分のケータイを
開いてライトにする。


「ブレーカー、どこ?」


そのままスタスタと
部屋のフスマの前まで
歩いて行って

振り返って

こっちを見た。


「早くしろよ。

おばあちゃん
転んでたら大変だろ」

あ…。