「ご想像にお任せします」
すれ違いざま
セイが
思わせぶりな流し目を
送ってきてッ
「そんな恐ろしいコトッ」
想像するのも
コワイですッ。
「ちょっとセイ!」
私に腕を掴まれて
「何だよ〜?」
セイが、かったるそうに
横目で見下ろしてきた。
「リビングにいるヒト
セイのお客さまッ!?」
「…お前」
「何よッ」
「もしかして
お前にも
チャイナ服を着た老人が
見えるとか?」
「えッ」
「……」
「…何、それッ」
「そうか
お前にも見えるんだあ」
ってッ
もしもしもしッ!?
セイが意味深な笑みを残して
リビングの方へと
消えてゆくッ。
「…あの?」
ぶるぶるるッ。
背中に冷たいモノが走り
「また変な黒魔術とか
始めたんじゃ
ないでしょうねえええッ」
怪しい香りが
また一段と濃くなった。
「やだやだやだッ」
いつものセイのジョークに
決まってるッ。
オバケとか幽霊とか
17年も生きてきて
一度もお目にかかった
コトはナイもんねッ。
「…だけど」
お目にかかったコトは
なくてもッ
「セイのバカあッ!」
私を部屋にひとりに
しないでくれるかなッ!!
私はカバンを
ベッドの上に放り投げ
セイの後を追って
リビングへと向かう。