あれ?


「セイ?」


リビングにセイの姿はなく

「……」

ソファーには
やはりチャイナ服を着た
客人がいて。


「…ごっくんッ」


生きてる人間だよね?


後ろ姿の客人を
遠巻きにしながら

「セイ〜…」

こっそりと
セイを探す私の目の端に

キラッ。

細い光が飛び込んでくる。


「あ」


私の部屋の学習机の上に
置いてあったハズの鏡が

老人の目の前

テーブルの上に乗っていた。


…さっきセイが
私の部屋から
持ち出したのかな。


鏡越し
客人と目が合って…。


目が合って。

目が合って…ッッ!!!


「!!!!!!!!」


ひょえええええええッ。


鏡に映る老人のその顔は
包帯のように白くッ

塗り壁のような皮膚に
白目だけが黄ばんでるッ。


額にお札が貼ってあったら

それこそ昔映画で見た
まさに中国の死体妖怪
そのものでッッ。


「あうあうあう」


これは
都会の白昼夢なのかッ。


動揺している私の背後を
何かが通り過ぎる
気配がした。