振り向くと
「セ、セセセッセイッ」
神妙な顔つきで
老人に近づくセイの姿ッ!
白いお皿の上に乗せた
蒸したタオルを
セイは老人の前に
うやうやしく差し出すと
ソファーに座っていた
客人の斜め前の床に正座して
背筋を伸ばして身を正した。
「……」
「……」
「……」
テーブルの上にくゆる線香。
セイは老人の前で
両手を合わせ
しばしの黙とう。
「その様子だと
“コレ”も
もう平気なようじゃの」
「…どうぞ」
セイのひと言に
反応するようにして
客人が蒸しタオルを
手に取って
顔を拭く…。
私の目の前で
鏡の中の死体妖怪の顔が
みるみる、おじいちゃんに
変わっていってッ
「ぷはああ」
息を吹き返した!
「な、な、何ッ!?」
何なのッ、これッ!?
セイの傍に掛け寄ると
足元には
袋に入った怪しい白い粉ッ。
「触るな!」
セイが私の手から
白い粉が入ったちいさな袋を
取り上げた。
「いいか。
ここで見たモノを誰にも
しゃべるんじゃないぞ」
ってッ。
もしもしもしッ!
「まあ、よいではないか。
せっかくだから、その子にも
使用感を体験して貰えば」
はいッ!?