「スミマセンッ、つい。
その節は大変お世話に…」
笑顔でその場を
取り繕おうとした私に
「顔にパックしたまま笑うと
シワになるよ」
ってッ
「これってパック
だったんですかッッ!?」
意外な事実が告げられる。
「…お前は
本気でゴマフアザラシに
なったつもりだったのか?」
そんなコトは
思ってもいません
でしたけどッ!
「せっかく貴重で希少な
本物のウグイスの
糞なんだから
無駄にするなよな〜」
セイのひと言に
私は我が耳を疑った。
…今。
「ウグイスの何、って
言いました?」
「まあ、確かに
ウグイスの、だと言いながら
ちまたで流通しているのは
たいていは
ソウシチョウの糞だからね」
「ウグイスの…糞ッ?」
「そうだね」
「ウグイスの…」
ウンコ…。
「あは?」
「ほら、また
シワになってるぞ」
だあああああああッ!
私は一目散に洗面所に向かい
ゴシゴシゴシッ
顔のウンコを洗い流すッ。
「…豚に真珠。
トーコに高級化粧品」
ゲテモノ食いのセイとの
価値観の違いに
果てしない距離を
感じながらも
「せっかくのご好意を
ウチのトーコが無駄にして
申し訳ありません」
なんて
正座をしたまま
薬屋のオーナーに
セイが素直に
アタマを下げていて
「……」
ちょっと、驚いた。