キッチンに行くと

テレビでしか見たコトがない
中華菓子に工芸茶

キッチンの作業台の上
散らかした箱には
値札シールが貼ってある。


「……」

セイが自分で
用意したのだろうか。


真新しい透明なポットの
お湯の中で
ジャスミンの花が
咲いていた。


…日本茶とか

黄色っぽいお茶が
嫌いなセイ。


「自分の苦手なお茶を
用意するなんて

どういう風の吹き回しだッ」


私はリビングにいる
セイに目をやると

「……」

背筋を伸ばし
客人の話に聞き入っていて

「…気味が悪いな」


弱味を握られた相手にすら
高慢な態度に
出ずにはいられない

そんなセイが
ここまで気を遣う相手って

パパだけだと
思っていた…。


せっかくの
ジャスミンのお茶の香りも
消されてしまう
濃い香がくゆる中

私の知らないセイがいて

ときどき洩れ聴こえてくる

「…キリエさん」

その女性の名に嫌な胸騒ぎ。





月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ

レクイエム#001

≪〜完〜≫


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