「朝は部活の友達と
朝練がありますから」
なんてウソだけど
『また〜あ!
トーコちゃんってば
そんな適当なコト言ってッ』
「ホントですッ」
ここは何としてでも
このお誘いから
逃げなくてはッ。
私の本能が
警笛を鳴らしているッ。
『だったらさあ
朝練の証拠見せてよ〜』
「はい?」
『明朝の朝練ッ
公園でやりなさいよねッ』
「……」
『わかったわね?』
どうしてこのヒトは
ここまで食らいついて
くるのだろうか。
「…私の一存では
決められませんからッ」
『なら、明朝
公園にトーコちゃんが
現れなければ
アタシッ
トーコちゃんのパパに
声掛けちゃうかもッ』
ってッ!!!
「どどどどどうして
ここでパパの話が
出てくるんですかッ」
『だって
太極拳やってる公園
トーコパパの
オフィスの傍だしッ』
「何でッ」
どうしてテツオさんが
パパのオフィスを
知っているのでしょうッ!?
『太極拳やってる
公園へ向かう途中で
毎朝、見掛けるし〜』
確かにパパは、ここ最近
取引先との時差の関係で
すんごい早朝から
出勤していますけどッ。
『ヒト気のない早朝の
大通りの坂道を登ってる
パパさんのお尻って
案外、セクシーなのよね〜』
「……」
さりげなく人質を取られ
自分が
軽く脅迫されているという
この事実ッ。