「テツオさんに
何の用事があったんだ、って
逆に追求されたら
何て言い訳すれば…」
キリエさんって女性が
気になって
なんて正直に言ったら
セイのコトだ
俺のコトが、そんなに
信用できないのか、って
反対に
怒り出しそうだよね…。
「ああ…、困ったぞッ」
厄介ゴトを背負わされ
キッチンへ向かう
足取りも重くなる。
何も知らないママが
冷凍食品の封を開けながら
「サラダをお皿に
盛りつけてくれる?」
のどかな笑顔で
私に指示を出していた。
「…あ、うん。
サラダね、サラダ」
不安を振り切るようにして
私は
冷蔵庫の野菜室を開ける。
「野菜なら、今、セイが
洗ってくれているから」
「え」
ママのセリフに振り向くと
「あとは切るだけだから」
気配を消すようにして
キッチンの流し台の前に
立っていたセイに
野菜入りのボウルを
突き出され
「……」
驚いた。