シンスケに連絡して
朝練に
つき合って貰おうかな。
ひとりだとどうしても
テツオさんのペースに
巻き込まれちゃうけれど
シンスケは
融通が利かない頑固者だから
万が一怪しげなコトに
引き入れられそうになっても
ハッキリとNOと
言ってくれそうだもんね。
「シンスケにはワケを話さず
取りあえず
公園の傍をいっしょに
駆け抜け貰えれば…」
上手く行けば、足を止めずに
現地でそのまま
テツオさんをスルー
できるかもしれないし、と
都合のよい展開を
アタマに描きつつ
「シンスケさまさま
明朝、よろしくお願い
申し上げまする」
私はシンスケを
メールでランニングに誘う。
「ただいまあ。
今日はエビワンタンか」
自分がテツオさんの餌食に
されかかっているなどと
夢にも思っていないパパが
今日も機嫌よく
会社から帰ってきた。
「いい匂いだね」
キッチンにいるママに
声を掛けると
「今日のスープは
なかなか
よく出来た方だと思うのよ」
ママは自信満々に
パパに味見を勧める。
「魚介類の味が
よく出ているね」
満足そうに
小皿のスープを飲み干した
パパに
「でしょう!
このスープ、すっごく
高かったんだから!」
ママの声が弾んでいた。
シンスケからの色よい返事が
私のケータイに着信する。
「おしッ」
何かに導かれるように
悪意の潜むその街へと
私は足を
踏み入れようとしていた。
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#002
≪〜完〜≫
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