「ほらほらッ。
朝も早くから
頑張ってる記念に
残しとこうかと思ってねッ」
「記念?」
「あ、いや、えっとッ」
「……」
「……」
今日のシンスケは
やけに絡んでくるなッ。
「もしかして
セイに見せる為だとか?」
「はい?」
「アイツ
お前の成績のコト
すごく心配してたからな。
どうせ朝練も
勉強から逃げる為の
口実だとか
セイに
疑われているんだろう?」
「……」
善良そうな顔をして
ビミョ〜に痛いトコロを
ついてきますねッ。
結局、セイには
何も言い出せぬまま
家を出てきて
しまっているんだけど…。
「セイは素直じゃないから
心配してる、なんて
面と向かっては
言わないだろうけどさ」
セイの話をしている
シンスケの口元の緩み方
と言ったら
まったくもって
ホントッ見ていられないッ。
冷たい空気の中
シンスケが吐く息すらも
ほのかにピンク色に見えるッ。
「いくら証拠画像を
用意したって
トーコが
自分でメールしたんじゃ
信用して貰えないだろう」
シンスケが自分のケータイを
取り出した。
「俺がメールしてやるよ」
「とんでもないッッ!!!」
ない、ない、ない〜…。
澄んだ冬の空
高らかに私の声が響き渡る。
「……」
「…いや、あの、そのッ」
シンスケが
メールを打つ手を止めて
こっちを見ていて。
「…トーコお前。
俺に何か隠してないか?」
いつになく
シンスケのツッコミが
鋭いですッ。